花・ジャングルジムの講習会

1月19日、幼児グループの研修会がレジデンス日進の地域交流室で行われました。(主催 花・ジャングルジム)

朝早く、東京を立って来られた手塚直樹先生と青山和子先生の講演で、幼児期、児童期、思春期の問題をとてもわかりやすく、明快にお話くださった後、ひとりひとりの現在抱えている問題をお聞き下さり、それに対してそれぞれのお答えをいただきました。

10時から3時まであっと思う間に時間が過ぎて、お昼で帰らなければならない人はとても名残惜しく、泣いて感謝の思いを述べられ、つられてみんながいっせいに泣き出してしまいました。自分たちが迷いに迷って子育てをし、せいいっぱいがんばっているのを少し手をさしのべてさあこうやって子育てをしてみましょうと教えられた気がしたと思うのです。

「人との出会いがおだやかだとその子はおだやかに育つ」
「座って待つことを教えましょう」

等等心に残ったこどばをかみ締めていました。手塚先生、青山先生ありがとうございました。


■青山和子先生のご紹介

□日本女子大学社会福祉学科を卒業、当時数少なかった知的障害のある人の入所施設、現在の「総合福祉センター弘済学園」に専門職員として従事し、おおむね40年にわたって、知的障害のある幼児、児童、成人の支援に親身になって行動されてきました。

□総合福祉センター弘済学園は、幼児から成人まで一貫した支援を行っていますが、特に知的障害のある幼児と母親が3ヶ月にわたって入園し、早期療育の基本などを具体的に学び・経験していく、日本で最初の「母子入園」の責任者として、多くの実績を残されています。また、思春期のご本人やご家族についての支援には、とても経験が深い方です。

□昨年4月に、総合福祉センター弘済学園長を退任され、東京の麹町にある弘済会館総合相談室の療育相談担当をはじめとして、知的障害のある人やご家族の相談・支援にあたっています。

□現場の第一線で直接支援にあたってこられた方ですが、この間いくつかの大学で講座をもたれ、また「知的障害時・者の生活と援助」(一橋出版)、「ちえおくれの子どもの日常生活指導(3部作)」(学習研究社)等、多くの著書があります。

(手塚直樹)

■手塚直樹の自己紹介

□知的障害のある人をはじめとして、心身に障害のある人の職業や社会参加の分野で活動してきました。この間、わが国最初の知的障害者のモデル企業で多くの知的障害のある人と共に働いた経験をもっています。
また、鉄道弘済会本部社会福祉部で総合福祉センター弘済学園を担当したことなどが、私の知的障害のある人の支援の原点になっています。こうした関係から、青山和子先生とは40年来のお付き合いを願っています。

□その後大学の教員として、主に社会福祉専攻の学生の教育にあたってきました。現在は、新潟医療福祉大学の名誉教授です。
□現在、東京都町田市にある「社会福祉法人白峰福祉会」の理事長を努めています。知的障害者通所授産施設、通所更生施設、グループホーム、居宅介護事業等を運営しています。通所施設のご利用者は、重複障害や自閉症の人がとても多く、障害者程度区分では、区分6および5の人が3分の2以上を占めているという施設です。日々、ご利用者やご家族とのかかわりの中で、本当に多くのことを学び経験しています。

2007年1月23日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

実践的なA型就労継続支援事業所のモデル

前回、このコーナーで企業が障害者を雇用した場合に、A型就労継続支援費を恒久的に企業に支払うことができれば就労は劇的に進むことを述べました。実は、今からでもこうしたことを実質的に行うことは可能です。

その方法は
(1)企業と提携した社会福祉法人やNPOが障害者の就労支援を目的とした事業所(以下事業所)をつくる。
(2)企業は事業の技術や知識を有する社員を事業所に出向もしくは人材派遣の形で派遣し、雇用した障害がある人の支援員とする。
(3)建物や機械は企業からレンタルを受け、事業所は、支援員の人材派遣費と設備のレンタル料を企業に支払う。
(4)提携した社会福祉法人やNPOは就労継続支援事業の管理者資格がある人をこの事業所に配置する。
(5)企業にとって必要な作業を下請けの形で事業所に継続的に提供し、請負料を事業所に支払う。
(6)事業所の管理者は支援費を自治体に請求する
というものです。

事業所は企業から受けた委託費の中から利用者に工賃を支払います。工賃の金額はおおむね35000円~70000円(月額)の間となるでしょう。

管理者は障害者福祉に関する専門的な知識を生かし、本人のニーズや障害の状況に応じ、本人に必要な訓練を行います。

こうしてみると、実質的に、企業内に支援費の支給を受けることができる障害者の多数雇用事業所を設立することと同じです。

ただ、こうした仕組みを悪用して不適切な事業所ができないとも限りません。そこで、企業が設立支援した事業所が障害者自立支援法に照らし合わせて適切なものであるかどうかを常に把握できるようにすることが必要です。また、事業所をアセスメントし、職場の改善作業ができるよう、企業と社会福祉法人の連携を深めることも必要になるかもしれません。そうしたシステム全体の管理を期待されているのが各福祉圏域に配置された障害者地域生活支援センターです。

現在は障害者自立支援法の問題点が明らかになった段階です。特に事業者は「激変緩和」に関心が向かっています。しかし自立支援法の本質は現在の授産施設のあり方を根本から変える法律です。障害者の自立が促進され、障害がある人がそうした事業所を選択するならばなんら問題はありません。しかし、現在の施設が解体され、障害がある人が路頭に迷うことがないようにしなければなりません。

そうならないために企業との提携を視野に入れた多様なモデルをつくっていくことが必要でしょう。障害者の就労にも地域社会の企業の発展にも社会福祉法人の発展にも結びつく新しい連携モデルづくりが求められます。