人は作業をこなすことで健康になれる

今日は書籍の紹介です。

◎日本作業療法士協会「作業のとらえ方と評価・支援技術」生活行為の自律に向けたマネジメント(医歯薬出版)

2012年の四月、認定調査、ケアマネジメントの研修、新制度への完全移行、利用者への説明、契約とばたつく障害福祉関係をしり目に、高齢者福祉現場では介護保険への移行から10年を経て、上記のことばに端的に表現されるような理念を持った実践主義の福祉技術が花開いています。

現在、障害者福祉が高齢者福祉に大きく水を開けられてしまっているという感があるのは私だけではないと思います。私たち障害者福祉の「デイサービス」現場はかねてから授産施設として作業をたいへん重んじて来ました。特に名古屋はその先進地として、障害が重い人でもなんらかの「意味のある(meaningful)」作業に従事し、単に工賃を稼ぐだけではなく、作業活動に伴って、様々なレベルで地域活動に参加してきました。

「意味がある」活動の方が単なる機能回復訓練よりも効果があるというエビデンスがあります。この本は利用者の主体性や実生活に焦点をあてたクライアント中心の作業療法が必要だと説きます。紹介されている作業の分野は

・日常の身の回りの作業
・家事などのIADLを維持するための作業
・趣味などの余暇的作業
・仕事などの生産的作業
・地域活動などの作業

などあくまでも実践の中に人生の質を問い直すという姿勢が貫かれています。自己決定と言うことばも随所で使用されていますが、要は、実生活を送るクライアントにどのように寄り添いながら作業活動を支援できるのかということだと。

実践事例も秀逸で、孫に手紙を気書きたいという思いを大切にした作業ではじまり、家事練習、編み物、洗濯、アクリルたわしづくり、日曜大工など、施設利用者が大切にしてきた日常に立って作業療法を展開しています。

ポイントは評価・支援技術をコンパクトにまとめていてすぐに使える様式が豊富に掲載されていること。障害者の生活介護施設のマネージャーは必見の書です。

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