親亡き後、知的障害者の成年後見人について考える

親亡き後を考えるという勉強会が延期されました。今回は、資料として用意しておいたものを書き込んでおきます。

テーマ:親亡き後、知的障害者の成年後見人について考える

1 成年後見人を決めるだけでは心配は消えない
2 遺産がある場合には、相続後の財産の有効利用を考えておく事
3 法的に権利を護る事よりも支えてくれる人に感謝することが大切

1 成年後見人を決めるだけでは心配は消えない

■成年後見人はもともとは・・・

・財産がある高齢者が、
・自分がまだ判断能力があるうちに、
・自分に代わって、
財産管理、医療看護の契約を取り行ってくれる事を委任したい

典型例 家族に観てもらえない一人暮らしの認知症高齢者→その後、知的障害者にも広がった
事業者のすそ野が広がった高齢者介護ではますます重要な課題

Q 知的障害者ではどうか?その理由は?

■成年後見人の実態

「子・兄弟姉妹・配偶者・親・その他親族」が後見人等に選任されたものが全体の約83%
第三者が法定後見人に選任された件数は、全体の約17%
・弁護士952 件
・司法書士999 件
・社会福祉士313 件
今後、専門家、NPO、市民ネットワークが増える可能性あり

Q その時、施設との関係はどうなるのか?

■知的障害者成年後見人の仕事

1財産管理
2自己決定支援
◎自己決定支援だけなら施設職員の役割と変わらない

身上監護(生活・療養看護)
①被後見人の介護契約・施設入所契約・医療契約等についての代理権
②被後見人の生活のために必要な費用を、被後見人の財産から計画的に支出する業務
介護労働や家事援助は後見人業務の対象外→家族後見人の場合、事実上の無報酬。

Q 家族以外の人が成年後見人を受けることは、当人にどんな利益があるのか?

■ほとんどの知的障害者には財産がない

高齢者との決定的違う点であるが、相続によって財産をもつかもしれない
→ただし成年後見人が、遺産相続の当事者となる場合には貢献人資格を一時的に失う
年金を貯めてきた人は数百万円を所有しているかもしれない

しかも、知的障害者の相続権は家庭裁判所によってきっちり守られている
財産分与について、親は希望を伝えておく必要がある

■成年後見人の報酬は?

法廷成年後見人 報酬は未公開だが、推定で月額5000円~50000円
家族成年後見人の場合はほとんどが無報酬
成年後見人に補助金は出ない
財源は本人の財産
※実際には年金の額が少ないので報酬は支払えないケースがほとんど
※被後見人に使われる経費と後見人報酬があいまい

◎本人に財産がない場合は、成年後見人事務にかかる経費を年金から支払う構造
◎後見人が被後見人の財産を横領するケースが時折ニュースになる
成年後見人監督人が必要

Q これでいいのか?

2 親亡き後

■家族の役割分担

日ごろから家族の役割分担を示唆しておく事が重要
(本人に必ず遺産が分割される)
遺産の有効利用の方法を考えておく
例 土地の場合→アパート(グループホーム)経営?
※まだ権利擁護体制ができていないため、研究の必要がある

■権利を明確にするだけでは人を護ることはできない

長い人生を乗り切るには支援ネットワークが必要
成年後見人の選定をしておく

Q ただし、現在の障害者政策は権利付与による社会変革

■子は親の鏡

親がやっている安易な事を子どもは真似る
親は年金を本人のために残すという習慣を作る
権利を護る事よりも感謝することが大切
我欲を抑えた行動をとる
・他者を優先
・職員・ボランティアへの感謝
・家族への感謝
・地域への感謝
・私欲を抑える(わが子よりも他の人を先に)
・お互いを支えあう家族会活動

○○せざるを得ない→喜んで○○したい
負の強化ではなく、正の強化で社会を変える

■家族会の役割→支援ネットワークをつくる

今後、障害者施設の経営が好転する機会は少ない
本来は、知的障害者の権利擁護や成年後見を必要としない社会が望ましい
そのために、施設を超えた連帯が必要→家族の結束と連帯で社会を動かす
施設は成年後見を必要としない安心・安全の施設サービスを提供すべき
職員はいい仕事をして本人、家族、地域に喜んでいただく
職員も家族も、できるだけ地域の他法人と連携を深める
家族は地域、職員、そして本人に感謝する

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