地域福祉では「連携」が大切だといわれています。
連携とはもちろん形式的な契約に基づくものではありません。目の前の障害がある人に対して「自分たちは、いったいどんな貢献ができるのか」をそれぞれの組織の立場から、相互に確かめる行為です。
具体的で象徴的な共同作業が象徴的な事例となって、お互いが連携していることが確かめられます。施設間の連携を例に挙げましょう。
例えば、通所の利用者に家庭の生活環境の問題があって、入所施設の一時利用を行う場合、入所施設を一時利用している間に、通所施設のスタッフは利用者の生活環境整備を行うことが期待されるでしょう。入所施設はこれを行い、通所施設はこれを行って利用者の課題を解決していくという相互の行為や覚悟が示されます。
入所施設の利用者が通所施設の作業を行うというような場合、普段の生活で、比較的うまくいく接し方や、問題が拡大する接し方に関する具体的な支援情報や環境の設定方法をアドバイスすることも連携のひとつです。
生活支援センターを通じた他の法人との連携や、障害福祉分野を超えて企業や医療機関との連携となると、連携はさらに難しくなります。ですが具体的な連携行動の積み重ねが連携を維持するために重要であることは変わりません。
家庭と施設の連携も同じです。家庭ですべきこと、施設でなすべきことを情報交換してお互いに分担していくことが必要で、これも連携のひとつです。
このように、お互いに実行すべき行動や情報を交換し、粛々とその行動を実行することによって、初めて相手が自分たちと連携していることを確認できるのだと思います。
換言すれば、「連携」はもともとフォーマルな関係ではなく、一つ一つの象徴的な行動の積み重ねや小さな成功体験の共有によってのみ維持されるものだと思います。連携する相手に対して脅したり、命令したり、その他ネガティブな行動は連携を破壊しても維持することはありえません。支援計画や契約はもちろん必要ですが、それを交わしたからといって連携は形成されることはないのです。