2030年には人口は13000万人から12000万人になる。
これは厚生労働省の社会保障審議会人口構成の変動に関する特別部会が平成18年に報告したデータだ。
老齢人口は32%(20%)
生産人口は59%(66%)
年少人口は10%(14%)
()内は2003年の数値。
3人にひとりが65歳以上となる。今から約20年後の日本の現実だ。
そうなると高齢者福祉の実態は都市型の福祉と農村部ではかなり形が異なっているだろう。
1東京都は人口増
2政令指定都市では人口減少と人口の流入が拮抗。
3農村部は人口減少
と予測されているからだ。
都市型ではマンション型の高齢者福祉があたりまえになっていると思われる。
リゾート地での生活は必要な生活資金は高いわりには利便性が悪い。
人口構成の推移から20年後には都市の中のマンションの中のケアホーム、グループホームが多くなっているはずだ。
現在、耐用年数の高層ビルが東京では林立している。これを少し改造するだけで都市の中にいくらでもケアホームができる。
高齢者福祉と障害者福祉は統合されそうでいてなかなか統合されにくい。その理由は
1障害者の場合には収入や財産が少なく高齢者のように入居の際に高額な契約料が支払えない。
2ケアの質が異なる
3制度の統合に対する異論が消えない
4障害者自立支援法で統合ができないことがほぼ明らかになった。
5介護度の判定方法について新しい判定基準を導入する動きもある。
いずれの方向も、障害者福祉と高齢者福祉の統合とは異なる方向性を示している。
そうしたとき、高価な高齢者ケアホームにも入れず、家族介護も見込めない知的障害者はどうすればいいのか
やはり地域の障害者福祉計画の中で進められる障害者福祉サービスが充実することを望むしかない。
1 高齢者と同等な質が確保された知的障害者ケアホームのしくみが用意されること。
(アホームへの入居契約料の補助、障害年金や企業内の授産活動による本人収入など)
2 現行の入所施設の枠組みをリニューアルしてもう一度入所施設中心の地域福祉を考えること。
が選択肢となる。
入居施設中心の地域福祉はおかしいという人もいるかもしれないが、入所施設と地域福祉は今や言語的に矛盾しない。
地域福祉を<脱施設>と捉える人は一部の過激な専門家だけで、地域福祉は「地域(自治体)が主体的に取り組む福祉計画のこと」という理解の仕方が一般化しているからだ。先に述べた人口動向の面からもこれからは地域のニーズに合わせて地域福祉を考えていかなければならないのは明らかなためこうした言葉の使い方は強化されていくはずだ。
私は本人の利益からも、実現の容易性も、地域福祉計画の立案のしやすさの面からも現行の障害者入所施設の継続的な改善を行って地域福祉の理念を実現することが有利だと思うのだが。