国際社会が1981年に障害がある人の「完全参加と平等」に向けて努力することを宣言してから今年で27年目となります。長い時間が経過しましたが、障害がある人たちが社会に完全参加し、平等な権利を有しているとはいまだに言えません。
確かに、わたしたちの世代で「完全参加と平等」を成し遂げるのは容易ではありません。しかし、私たちが完全参加と平等は決して大きすぎる目標ではないと思います。その実体を突き詰めれば日々の生活のありようの問題にすぎないからです。
障害がある人が地域の人々との交流を少しでも増やすことができるようにするには?
障害がある人が地域の人々の役に立つ仕事を確保するには?
障害がある人が自分の住まいとして胸をはることができる生活空間をつくるには?
やりたい仕事を楽しみ、余暇を楽しみ、生活そのものを楽しむことができる-それが参加と平等の具体的な姿なのだと思います。
私たち施設職員は施設職員と利用者の関係ですから、利用者と共同生活を行っていますが、まったく同じように生活を楽しむことはできません。利用者と同じように生活を楽しむのが私たちの使命なのではなく、<利用者の楽しみの実現>を職業としています。利用者が生活を楽しんでいることを私たちの楽しみとするわけです。それが偕に(ともに)楽しみ、偕に生きるということの本質なのだと思います。
2007年は団塊の世代が大量に定年を迎える年となります。これは社会の中に自分がほんとうにやりたかった生き方を求める人が増え、働き方が変わり、ひいては福祉業界にも新しい労働力が供給されることを意味します。私はこうした団塊世代の人にとって、<やりたかったことができる魅力ある職場>として名東福祉会が注目されることを期待しています。そのためにも名東福祉会に多くの有益な経験や知識やキャリアが結集することができるよう、組織のあり方も含めて改革を続けていかなければと考えています。