前回、このコーナーで企業が障害者を雇用した場合に、A型就労継続支援費を恒久的に企業に支払うことができれば就労は劇的に進むことを述べました。実は、今からでもこうしたことを実質的に行うことは可能です。
その方法は
(1)企業と提携した社会福祉法人やNPOが障害者の就労支援を目的とした事業所(以下事業所)をつくる。
(2)企業は事業の技術や知識を有する社員を事業所に出向もしくは人材派遣の形で派遣し、雇用した障害がある人の支援員とする。
(3)建物や機械は企業からレンタルを受け、事業所は、支援員の人材派遣費と設備のレンタル料を企業に支払う。
(4)提携した社会福祉法人やNPOは就労継続支援事業の管理者資格がある人をこの事業所に配置する。
(5)企業にとって必要な作業を下請けの形で事業所に継続的に提供し、請負料を事業所に支払う。
(6)事業所の管理者は支援費を自治体に請求する
というものです。
事業所は企業から受けた委託費の中から利用者に工賃を支払います。工賃の金額はおおむね35000円~70000円(月額)の間となるでしょう。
管理者は障害者福祉に関する専門的な知識を生かし、本人のニーズや障害の状況に応じ、本人に必要な訓練を行います。
こうしてみると、実質的に、企業内に支援費の支給を受けることができる障害者の多数雇用事業所を設立することと同じです。
ただ、こうした仕組みを悪用して不適切な事業所ができないとも限りません。そこで、企業が設立支援した事業所が障害者自立支援法に照らし合わせて適切なものであるかどうかを常に把握できるようにすることが必要です。また、事業所をアセスメントし、職場の改善作業ができるよう、企業と社会福祉法人の連携を深めることも必要になるかもしれません。そうしたシステム全体の管理を期待されているのが各福祉圏域に配置された障害者地域生活支援センターです。
現在は障害者自立支援法の問題点が明らかになった段階です。特に事業者は「激変緩和」に関心が向かっています。しかし自立支援法の本質は現在の授産施設のあり方を根本から変える法律です。障害者の自立が促進され、障害がある人がそうした事業所を選択するならばなんら問題はありません。しかし、現在の施設が解体され、障害がある人が路頭に迷うことがないようにしなければなりません。
そうならないために企業との提携を視野に入れた多様なモデルをつくっていくことが必要でしょう。障害者の就労にも地域社会の企業の発展にも社会福祉法人の発展にも結びつく新しい連携モデルづくりが求められます。