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名東福祉会後援会の意義

名東福祉会の後援会は昭和57年の設立の直後にスタートしています。年会費は3000円。施設の活動を広く地域に広報するために機関誌WORKSを毎月発行していました。

最初は故奈々枝会長の知人を中心に、無料でWORKSを送付していたのですが、内容を読んだ多くの読者から
「こういう障害者の問題を教えていただいてなおかつ郵送費で負担をかけるのは申し訳ない。購読料を払わせてください。」
というありがたい声をいただきました。そこで実費を助けていただくという意味合いで賛助会費の設定が行われたのが後援会発足のきっかけでした。

名東福祉会の後援会の設立趣旨は今でも生きています。その目的は、地域の人たちや地域外の志を同じくした人たちに、名東福祉会の活動をご報告する事にあります。またWORKSの送付を通じていろいろな授産製品が地域に紹介され、製品の販売を後押しするという販売促進資料の役割も果たしたと思います。

現在、名東福祉会の後援会は「施設利用者の会費」と「一般の人たちの会費」の2本立てとなっています。
これは施設を利用していただいている方が少しでも名東福祉会の運営に役立てばと、自主的に一般の人よりも多い会費を設定していただいたことがきっかけでした。もちろんたいへんありがたい話ではありますが、自立支援法が施行された今、施設利用者については支援費報酬の有形無形の自己負担があります。この際、後援会の設立の趣旨に立ち返り、施設利用者の後援会費徴収は廃止すべきだと思います。

もちろん利用者の生活の質の向上や施設の修繕、新しい施設建設に備えて寄付が必要な事はいうまでもありません。ただ、社会福祉法人への寄付は税制上の優遇措置もありますから、寄付は名東福祉会へ直接寄付する事が望ましいと思います。名東福祉会は寄付者ひとりひとりの意向に従い寄付金を使う義務があり、費用弁済した過程を財務諸表の形で公表しています。寄付金は収受の過程から会計への受け入れ、費用の執行に至るまで公的機関の監査を受けます。社会福祉法人への寄付行為によって寄付者の税金が控除される以上、公的機関から受払の厳密さが求められるのは当然です。

障害がある方の生活の質の向上は、地域の人々との協働なしには成り立ちません。後援会は地域との大きな窓口であり、地域福祉を推進するエンジンです。ここは本来の後援会設立の趣旨に従い後援会活動を見直していくべきでしょう。

第一に、研鑽の場として機能する事です。施設利用者の家族もできる限り参加する形で地域の人々が交流し、ともに学ぶ場に成長していくきっかけとしたいものです。

第二に広報機能の強化です。現在ではインターネットがあります。今でもWORKSのような印刷物が必要な事はいうまでもありませんが、名東福祉会のホームページについても今後、より機能を強化し、授産製品の注文や配送機能を搭載したり、読者との双方向のコミュニケーションを強めるなど、より見やすく楽しいHPに変えていく必要があります。

第三に、後援会が持つ事業的な要素の強化です。現在でもバザーを実施して収益を得ています。これらの活動をより強化するための企画室として役割を果たしていく事が求められていると思います。

障害者福祉はマラソンランナーです。地味で具体的な行動を通じてしか地域との交流は成り立ちません。急いではだめですし、ゴールを目指した粘り強いがんばりが必要です。

経営資源

社会福祉、とりわけ障害者福祉にとって最も重要な資源は、人、モノ、カネのうちどれでしょう。みなさんはこのうちどれを選べと言われても、どれもしっくりしないのではないでしょうか。

私は、実践経験=ノウハウだと思います。もっといえば、ひとりひとりの生活状況において、人と場に即した適切な支援プログラムを選択し提供するノウハウ(暗黙知と形式知)こそが社会福祉の組織にとって最も重要な経営資源だと思います。

障害がある人には、それぞれ障害を克服してきた歴史があります。また支援者の側にもそれまでに支援が実った歴史、失敗した歴史、いいかえれば学習経験があります。ノウハウは障害がある人と、支援を提供する組織や地域の学習経験の集積とも言い換える事ができます。従って、生活相談にしても、現場経験のない理論だけの相談支援では喜んでもらえる事は難しいかもしれません。

ただ、ノウハウはそれまでに経験した時間や人間の数ではないと思います。歴史の長い法人や規模の大きな法人が有利とは限りません。問題はその質です。たったひとりの支援経験や、短い支援経験でも、それが地域の住民の課題に対する姿勢や社会福祉制度を変えるだけのパワーを持つ事もあり得ます。

名東福祉会の実践においては、これまでに私たちが問題を克服してきた経験を振り返って尊重し、ノウハウを共有化し、持っているものはそれを伝達し、若い人はそこに新たなアイディアを加えてノウハウを常に改良していく事が肝要と思います。

自助 互助 絆

奈々枝会長の思い出話のひとつに、終戦直後の大阪における武田薬品工業での研究助手生活があります。研究助手と言っても、看護師として、ただ言われるままに薬品の合成や実験のお手伝いをする存在だったようです。

そんな見習い生活ではあっても、若い時の体験は恐ろしいもので、その後、終生会長の生き方に影響を与えたのではないかと思います。苦しい局面にでくわすと、
「成せばなる、なさねばならぬ何事も・・・」
と言ったり、また何事かを人様に教えなければならないときは
「してみせて言って聞かせてさせてみる」
と実践してみたり。

これは明らかに武田信玄の言葉。武田家の当主を戴く当時の武田薬品の中枢部の仕事場では、社員が互いを励まし、後進に技術を伝える度に普通に話されていた言葉だったと思います。武田信玄の言葉は上杉鷹山に引用され、新渡戸稲造の「武士道」によって米国大統領のルーズベルトの行動にも影響を与えたとか。

武田の強みは絆。わが郷土の英傑信長に敗れはしましたが、武田武士の絆の強さや自助や互助の精神は日本の武士道の原型ともいえます。

今、私たち日本人は大震災、津波、原発の3つの危機に見舞われました。それでも被災された人々や救助に向かう人々は、雄々しく自助、互助の精神、地域の絆の強さを発揮して再び立ち上がろうとしています。それが世界から称賛を得ています。

名東福祉会も、自助、互助の精神を発揮し、地域との<絆>を深め、会長の遺訓に応える時だと思います。

東日本大震災

戦後最大の震災がありました。M9.0は世界でも4番目の大きさだったそうです。

救援が始まりましたが、被災地の方は依然として厳しい状況に置かれています。また福島第一原子力発電所の事故はまだ安定した状態にはなっていません。一刻も早く復興体制が整い、安全が確保される事を願うばかりです。

今日(16日)の段階で死者・行方不明者は11000人を超えています。また避難生活を強いられている人は45万人にも上るといいます。その中でこれまでに自衛隊や消防の方々が救助した人の数は2万5千人以上となったそうです。危険を顧みず救助に向かう人たちの存在は、ほんとうにありがたく思います。

日ごろあまり見ないテレビですが、現地からの映像を見ますと、被災地の方が、少ない物資を分け合い、お年寄りや子供たちをいたわり、助け合いながら生きている姿を見ますと同じ日本人として深い感銘を受けます。横浜や東京では昨日より計画停電が始まりましたが、みなさん「東北の人たちを助けるため」と冷静に対応しています。

愛知の名東福祉会としても、自分たちが今できる事は何か、これからすべき事は何かを真剣に考えたいと思います。こうした時は、会の団結を深め、内部の改善に努めるとともに、これから起こってくるだろう様々な問題に、ひとつひとつ丁寧に対処していきたいと思います。会員の皆様方にはご協力をお願いいたします。

ネットワーク型

知的障害者の人たちの支援を本人の夢に沿う形で行うならば、網の目のように張り巡らされた支援者の関係をもって支援するしかありません。

これまで福祉システムの経営論を考えるとき、ひとつの考え方としてトップダウンかボトムアップかといった、やや表層的なgironn
が行われることがありました。現代の福祉システムで最も求められているのは、そのどちらでもなくネットワーク型です。トップダウン、ボトムアップは所詮組織の枠内から外に出ていない議論であるためです。

福祉施設は自己完結していてはなりません。さまざまな人たちが様々な夢を持ち、様々な考え方の元に、色とりどりの生き方を求めています。ひとりひとりの夢に合わせて支援を行おうとするならば、多様な支援システムの長所や短所を認め合った上で協働するしかありません。その意味では知的障害者にかかわりのある親、教師、福祉施設職員、企業の指導員、専門家の人たちの出会いが大切です。

インターネットはもともと国防のシステムとして生まれました。ひとつの情報伝達ルートが破壊されてもいろいろなルートで通信を維持する事ができる網(ネットワーク)を構築すれば、破壊に耐えるという発想から生まれました。ちょうど同じ事が福祉システムにもいえます。単独の福祉システムが提供する支援は脆くて危うい。
私たちは、支援のネットワークを、生活の場に細かく張り巡らされたネットワークから、地域レベル、県レベル、国レベルに広げていく事が必要です。もちろん国がしっかりとした福祉の方向性、あるいは国の形を描いていないとネットワークの構築のしようがありませんが。