人の役に立つ事をプログラムに取り入れる

ポジティブ心理学という心理学があります。認知心理学の一種で、アメリカ心理学ではかなりメジャーです。

アメリカ心理学は、はじめはフロイトを起点とする精神分析から始まり、その後スキナーらの行動主義が全盛期を向かえ、その限界を克服する形で、近年では認知心理学や認知行動療法にその中心が移っています。

1998年からアメリカ心理学会会長を勤めたペンシルバニア大学のマーティン・セリグマンはこのポジティブ心理学の創設者です。

ポジティブ心理学を応用したうつ病の治療は、薬物療法以上の効果をあげているというエビデンスが多数あります。

セリグマンやクリストファー・ピーターソンの本を読むと(翻訳本ですが)、幸せになるために必要な条件について研究を行っています。

どこかへ行きたいとか、楽しい事をしたいとか、
面白い映画を見るとか、何か欲しい物を手に入れるとか・・・も、確かに幸せにはなるのですが、
その幸せは長続きしません。

それに比べ、

楽観的であること
前向きであること
人に感謝すること
他の人に親切にすること
自分の強みを生かすこと
他の人に多くを与えること
家族や友人と一緒に過ごすこと
何か没頭できることを持つこと

といった事が幸福感には極めて重要なんだそうです。健康で長生きするそうです。

ボランティア活動も、利用者にとってとても助かるだけではなく、ボランティアをすること自体が幸せで、満たされるあることから長続きします。

障害がある人のQOLを考えるとき、生活介護施設のプログラムも「その人の強みを生かして人の役に立つ事」による幸福感をもとに、考え直していく必要があると思います。