親向け合同研修会:自立支援法の見直しと家族会の対応

11月7日の合同研修会の資料

■前回のミーティングからの報告
・安全・安心委員会スタート
・接遇委員会スタート
・給食委員会→アドムを参考にするなど改善がみられる

ここから本題・・・

1 障害者自立支援法が見直されます

■厚生労働省の発表
1 法律上も負担能力に応じた負担が原則であることを明確化。
2 グループホーム・ケアホーム入居者への支援を創設(居住に要する費用の助成)。
3 発達障害者が障害者の範囲に含まれることを法律上明示する。
4 総合的な相談支援センター(基幹相談支援センター)を市町村に設置。
5 支給決定の前にサービス等利用計画案を作成し、支給決定の参考とする。
6 障害児施設(通所・入所)について一元化。
7 「放課後等デイサービス」を創設。
8 保育所等を訪問し、専門的な支援を行うため、「保育所等訪問支援」を創設する。
9 成年後見制度利用支援事業の必須事業化
10 事業者における法令遵守のための業務管理体制の整備。

■グループホーム利用促進
○公営住宅を含めた公的賃貸住宅が的確に供給されるようにする
○住宅のバリアフリー化を促進する
○公的な家賃債務保証制度
○障害に基づく入居拒否については法的対処が可能に
○グループホーム等の建設に際し、地域住民との間において生ずるトラブルへの回避

2 名東福祉会が今後とるべき方向性は?

■施設ケアの方向性
・地域の方々から、個人個人の意思に基づいた寄付をいただけるよう努力する→必要とされる法人に
・グループホーム運営形態(ニーズ、資本、供給量、規模、職員数、利用料)について検討
・新しい形態の就労支援へのチャレンジ
・芸術・分化活動の普及
・介護の生産性向上
・行動療育事業の強化
・委員会(質の改善、ケア内容の妥当性、説明技術)
・自己決定支援
・生活スキルの育成と強化
・家族成年後見人の横領事件が社会問題化する→成年後見人制度について知る
・利用者にとって快適で有意義な環境の整備
・「はたらく」「よろこんで」を重視

■施設間連携
・個々の施設の特徴に合わせて自分たちで目標を決める
・施設間のWIN/WINを大切にする
・施設間で相乗効果を発揮する

■研修と研鑽
・自己決定を支援する組織的な風土・分化
・委員会
安心・安全委員会
給食委員会
接遇委員会
・内部監査機能の強化

■具体的事業目標
・名東区または天白区にグループホームを設置したい
Qその運営方法は?

・名古屋市に行動療育センターを設置したい
Q場所・方法

・「はたらく」「よろこんで」を大切にした就労支援
Q事業内容は?

3 家族は、名東福祉会をどのように支えるか

■一人年間3000円以上の寄付をお願いします
・税と社会保障の一体改革で寄付金の控除に関する通知→必要とされている法人か?
・施設利用者以外にもお願いする

■施設を超えた家族の連帯
・家族も、自主的に委員会や勉強会を開き、研鑽に努めるべき
・横断的行事
・合同家族会
■権利の主張からポジティブな支援活動へ
・権利擁護は負の強化 施設にとっては心地よくはない
・○○せざるを得ない→喜んで○○したい
・障害者を雇用しないと罰せられる→喜んで障害がある人を雇用したい
■怒られるからやる→喜ばれるからやる
・施設ケアを育てるのは家族会の役割
・20年間の企業活動を通して感じた事をひとことでいえば喜んで働く組織が発展する
「お客様に喜ばれる仕事ができて幸せだ」

だめな施設は・・・
・(職員)いくらやっても家族には感謝されない→契約内容の見直し
・(家族)何かがあると退所や損害賠償を求められる→弁護士、成年後見人などで理論武装
負の強化では、多様な行動は現れず、組織が分断され、次第に組織は弱くなっていく
反対に「喜んでやります」と口に出すだけで、不思議に行動が変わる

■家族自身が法人に対する貢献方法を考える
・ご自身で何がやれるのかを考えましょう

親亡き後、知的障害者の成年後見人について考える

親亡き後を考えるという勉強会が延期されました。今回は、資料として用意しておいたものを書き込んでおきます。

テーマ:親亡き後、知的障害者の成年後見人について考える

1 成年後見人を決めるだけでは心配は消えない
2 遺産がある場合には、相続後の財産の有効利用を考えておく事
3 法的に権利を護る事よりも支えてくれる人に感謝することが大切

1 成年後見人を決めるだけでは心配は消えない

■成年後見人はもともとは・・・

・財産がある高齢者が、
・自分がまだ判断能力があるうちに、
・自分に代わって、
財産管理、医療看護の契約を取り行ってくれる事を委任したい

典型例 家族に観てもらえない一人暮らしの認知症高齢者→その後、知的障害者にも広がった
事業者のすそ野が広がった高齢者介護ではますます重要な課題

Q 知的障害者ではどうか?その理由は?

■成年後見人の実態

「子・兄弟姉妹・配偶者・親・その他親族」が後見人等に選任されたものが全体の約83%
第三者が法定後見人に選任された件数は、全体の約17%
・弁護士952 件
・司法書士999 件
・社会福祉士313 件
今後、専門家、NPO、市民ネットワークが増える可能性あり

Q その時、施設との関係はどうなるのか?

■知的障害者成年後見人の仕事

1財産管理
2自己決定支援
◎自己決定支援だけなら施設職員の役割と変わらない

身上監護(生活・療養看護)
①被後見人の介護契約・施設入所契約・医療契約等についての代理権
②被後見人の生活のために必要な費用を、被後見人の財産から計画的に支出する業務
介護労働や家事援助は後見人業務の対象外→家族後見人の場合、事実上の無報酬。

Q 家族以外の人が成年後見人を受けることは、当人にどんな利益があるのか?

■ほとんどの知的障害者には財産がない

高齢者との決定的違う点であるが、相続によって財産をもつかもしれない
→ただし成年後見人が、遺産相続の当事者となる場合には貢献人資格を一時的に失う
年金を貯めてきた人は数百万円を所有しているかもしれない

しかも、知的障害者の相続権は家庭裁判所によってきっちり守られている
財産分与について、親は希望を伝えておく必要がある

■成年後見人の報酬は?

法廷成年後見人 報酬は未公開だが、推定で月額5000円~50000円
家族成年後見人の場合はほとんどが無報酬
成年後見人に補助金は出ない
財源は本人の財産
※実際には年金の額が少ないので報酬は支払えないケースがほとんど
※被後見人に使われる経費と後見人報酬があいまい

◎本人に財産がない場合は、成年後見人事務にかかる経費を年金から支払う構造
◎後見人が被後見人の財産を横領するケースが時折ニュースになる
成年後見人監督人が必要

Q これでいいのか?

2 親亡き後

■家族の役割分担

日ごろから家族の役割分担を示唆しておく事が重要
(本人に必ず遺産が分割される)
遺産の有効利用の方法を考えておく
例 土地の場合→アパート(グループホーム)経営?
※まだ権利擁護体制ができていないため、研究の必要がある

■権利を明確にするだけでは人を護ることはできない

長い人生を乗り切るには支援ネットワークが必要
成年後見人の選定をしておく

Q ただし、現在の障害者政策は権利付与による社会変革

■子は親の鏡

親がやっている安易な事を子どもは真似る
親は年金を本人のために残すという習慣を作る
権利を護る事よりも感謝することが大切
我欲を抑えた行動をとる
・他者を優先
・職員・ボランティアへの感謝
・家族への感謝
・地域への感謝
・私欲を抑える(わが子よりも他の人を先に)
・お互いを支えあう家族会活動

○○せざるを得ない→喜んで○○したい
負の強化ではなく、正の強化で社会を変える

■家族会の役割→支援ネットワークをつくる

今後、障害者施設の経営が好転する機会は少ない
本来は、知的障害者の権利擁護や成年後見を必要としない社会が望ましい
そのために、施設を超えた連帯が必要→家族の結束と連帯で社会を動かす
施設は成年後見を必要としない安心・安全の施設サービスを提供すべき
職員はいい仕事をして本人、家族、地域に喜んでいただく
職員も家族も、できるだけ地域の他法人と連携を深める
家族は地域、職員、そして本人に感謝する