平成の開国?

アメリカの圧力で始まったTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は民主党の「平成の開国か鎖国か」を争う選挙となるかもしれません。これは小泉構造改革のときの郵政民営化選挙を思い出させます。

・金融の解放
・弁護士の拡大
・サービス分野のいっそうの開放

要するに、日本の高齢者が保有している金融資産をいかに奪取するのかを目的とした動きに思えます。日本がTPPに加盟しても、アメリカはドル安に誘導しますから加盟しても輸入は増えません。中国が加盟しないのは素人目に見てもおかしな話です。なおいっそう「じじばば店」が消え、「シャッター通り」が増えていくのだと思います。そうなれば小さな町の小さなお店でみんなが集まる場という障害者の就労支援の典型的なモデル店も夢のまた夢。

サービス分野の開放は何を意味しているのでしょうか。現在規制がかけられているサービスといえば、
・医療
・福祉
に違いありません。特に福祉分野に国際的な垣根をなくしていく事が重大なインパクトを与えるはずです。外国の労働者が福祉分野で働けるようにする事は以前から何度も挑戦されています。今回のTPPは明らかに農業分野に特化された議論が展開されていますが、本当はサービス分野の規制緩和が目的ではないかと思います。「開国か鎖国か」といったあまりにも感情的な議論ではなく、もっと慎重で客観的な議論が必要だと思います。

もし安易に「開国」されれば、「平成の開国」は時を経て障害者福祉分野のサービスの在り方に影響を与えていくでしょう。障害者自立支援法の改正もその意義も吹っ飛ぶ話です。誰か止めてくれる人はいないのでしょうか。

もちろん障害者福祉分野にもある程度競争は必要だと思います。でも競争には土俵の公正さが必要ですし、競争相手との格差がありすぎても競争になりません。幕内力士と幕下力士が相撲をとならないように。高齢者福祉と障害者福祉は大きな格差があり、障害者福祉の中でも知的障害者の福祉はいつも厳しい状況に置かれています。

遅まきながら明けましておめでとうございます

今日の福祉情勢は「寒中の日だまり」のような日々です。アメリカと経団連の圧力で、昨年末に突然降って湧いてきたTPPのように、長期間にわたるデフレ政策がまたまた採られようとしています。デフレになると
・物価が下がるので障害がある人の生活は割と楽になる
・施設は当面の人件費が上がらないのでなんとか経営を維持することができる
・土地代が下がるので場所を確保しやすくなる
など、障害者福祉にとっては寒空の下、日だまりの中に佇むことができるような状況があるため、福祉関係のみなさんがあまり政治に対する怒りが湧いてこないという問題があります。でもこのままでは障害がある人も支える人も先が見えない不安のある日々を過ごさなければならない事になります。

障害者福祉が目指すべき道は、
1 障害があっても一般の職場で働く
2 生活はいつでもどこでも福祉サポートを利用できる
というのが理想です。そうした役割の分担を容易にするため、家庭と働く場と生活の場を統合的につなぎ、高い技術力を持った
3 個人の生活史を通した教育福祉機関
が必要です。現在の政策を続けていると企業が弱くなり障害がある人が働く場がありません。障害がある人の生活力が低下するため福祉サポートには利益が出ません。その上に成り立つ教育福祉機関の充実もありません。

そうした長年にわたる福祉不況の中、名東福祉会は、新しい時代にふさわしい新しい入所施設づくりにとりくんできました。これからもケアホームをつくり生活の場の充実に努めていきます。

就労の場については就労支援をベースとしつつ、農作物や食品、飲食店経営や企業連携など、地域の中でしっかりと根付いた活動に力を入れていきたいと考えています。

そして最悪の環境の中ではありますが、児童の行動療育と成人の相談事業を通じて教育福祉に力を入れていきます。この分野は制度が変わったからといってすぐに対応できるものではないため、今から力をいれていかなければなりません。

今は厳しい時代ですが、これに耐え、研鑽の努力を惜しまず、時代が変わった時に一気に羽ばたけるよう力を蓄えていきたいと考えています。