将来不安を払拭するためにも消費税の議論を

障害者福祉施設を安定した形で運営するためにはその財源を確保することが必要です。2006年の財務省の統計データを見ると、日本の国民所得に対する税と社会保険料負担の割合、いわゆる国民負担率は40.0%。でした。これはOECD加盟国29カ国中25位で、先進国の中でも低い方です。

財務省:国民負担率のグラフ

この中で主要な国を拾い出してみましょう。

デンマーク 70.9%(68.1%)
スウェーデン 66.2%(49.0)%
フランス 62.4%(37.8%)
イタリア 60.3%(42.1%)
フィンランド 59%(42.4%)
ニュージーランド 58.8%(57.1%)
ドイツ 52.0%(29.1%)
イギリス 49.2%(38.5%)
カナダ 44.4%(38.3%)
オーストラリア 44.1%(44.1%)
日本 40.0%(24.8%)
韓国 36.9%(28.5%)
アメリカ 34.7%(26.1%)
スイス 33.1%(25.1%)

特徴的なのはわが国の税負担率の低さです。わずか24.8%しかありません。よく「日本は税金の負担が高い」といわれますが、日本はOECD参加国29カ国の中で28位ですから、むしろ「日本は税が安い国」といえると思います。このデータは2006年のものですが、未曽有の金融危機で税収が落ち込みましたから、ひょっとすると、2010年のはOECD参加国の中で最低かもしれません。

税収入を確保するには消費税が優れていることは論を待ちません。消費税は法人税と比較して景気に左右される事が少なく、圧倒的に安定した収入となるからです。そこで、各国の消費税率を見てみましょう。

スウェーデン 25.00%(12%)
イタリア 20.00%(10%)
フランス 19.60%(5.5%)
オランダ 19.00%(6%)
イギリス 17.50%(0%)
中国 17.00%(17%)
ドイツ 16.00%(7%)
オーストラリア 10.00%(0%)
韓国 10.00%(10%)
アメリカ合衆国 8.25% 州ごとに異なる
カナダ 7.00%(0%)
日本 5.00%(5%)

()内は食糧品に対する消費税率です。

これを見るとわかるように、消費税についても日本は低い方です。

財政破綻は過去長い間放置されてきました。小泉構造改革においても、その後の政権においても、計画においてすら消費税を上げることを明言した内閣はありませんでした。これは安定した社会保障の仕組みを考える上で大問題です。責任ある政治を行うならば、消費税を上げることに言及しなければなりません。

消費税には逆進性があるといわれています。消費税を上げる場合、社会的な弱者に対する配慮、特に、障害者に対する配慮は絶対に必要です。世界各国の消費税のしくみを見ると、食料品に対する課税率がその他の商品とは別となっている場合が多いことがわかります。消費税率を上げる場合、食料品の消費税率については障害者に配慮する方式の導入をすることが必要です。

長期的展望に立って国の方向性を指し示すこと。それがなければ何時まで経っても社会福祉施設やそれを利用する障害者の不安は拭えません。消費税の論議はその始めの一歩だと思います。