知行合一

レジデンス日進は長期滞在用の個室10室とショートステイ用居室がある4ユニット構成の施設だ。レジデンス日進を建設するとき、私たちの法人はこの施設に、二つの通り名をつけてイメージを伝えようとした。
ひとつは「長期滞在型ホテル」。そして、もうひとつは「最後の砦」。
レスパイトケアを目的としていつでも誰でも楽しく利用できるようになることと、地域生活の最後の防衛線として生きていくことのふたつをその呼び名に託した。

レジデンス日進は、実際のところ、その両方の使われ方が行われる。楽しい方はいい。問題は厳しいほうだ。
成人期の知的障害者は、ときおり、親に対して爆発的な行動を起こすことがある。入所施設は、そうした人を一時的に受け入れることが必要になるときがある。

地域で厳しい行動の問題を抱えた人を受け入れることは、それだけで共同生活をする利用者の生活にリスクが増す。
だが、リスクがあるからといってそうした厳しい状況にある利用者の受け入れを拒否していれば、地域生活の最後の砦としての大儀がない。
たとえ大儀のためとはいえ、共同生活を行っている利用者を、一定の危険に晒すことは、それはそれで福祉の理念に背く可能性がある。難しい。

先日もそうしたことがあった。
通所施設のスタッフ、レジデンス日進のスタッフ、児童行動療育センターのスタッフが連携してこれにあたった。
いつ事故が起こるかもしれない状況で、気をゆるめることなく細かい対応にあたり、笑顔を絶やさず、受け入れた利用者のショートステイにあたってくださった。プロフェッショナルな行動だった。

使命を知っていても行動を起こさなければ知らないのと同じ。みなの知行合一の行動は賞賛に値する。
わたしたちの使命に従って、対応してくれたそれぞれの現場のすべてのスタッフと、ショートステイの利用者と生活をともにしてくださった利用者と、そのご家族に感謝申し上げたい。