かって障害者のグランドデザインで示されたライフスタイルは私達知的障害者福祉に携わるものからは非常に魅力的に見えました。
このところ示されている障害者自立支援法の方向性は障害者福祉のグランドデザインから離れつつあることが心配です。

障害者自立支援法については財政再建の圧力から支援費報酬の圧縮、障害程度区分の認定方法、障害者本人の自己負担を軽減することばかりに議論が集まりました。
本来ならば、社会福祉サービスの規制をさらに緩和させるとともに知的障害者の収入を上げることに議論の関心を向けるべきであるのに
そのような方向性の議論はまったく無視されたことは障害者にとっても福祉サービス提供者にとっても不幸なことです。

限りなく自己負担を減らしていけば、結局無料の福祉サービス利用という世界に行き着きます。
お上から与えられるサービスである限り、ニーズにきめ細かく対応する独自のサービス開発を行う意欲はわきません。
結局、利用者にとっては選択が保障されずQOLが向上することにつながりません。

知的障害者に真にやさしい障害者支援法であるためには
1 知的障害者の基礎年金を大幅に増やすなど障害者の貧困対策を行うこと
2 さらなる規制緩和を行い、福祉サービス開発の土壌を養うこと
3 良質な介護サービスが提供できるよう、評価システムを抜本的に改善すること
など、根本的な対策が必要です。

激変緩和措置により、よりよい福祉サービスのあり方を求めるムーブメントが下火になってしまうことが心配です。