法人単位の経営

本部機能の強化は施設単位の経営から法人単位の経営にシフトしていくことを意味します。

これからの社会福祉法人はある程度の規模が必要と行っても、私たちは障害者福祉を専門とする社会福祉法人です。コムスンのように全国ネットで施設経営をするような発想はありません。一般企業のように施設が増えれば増えるほどスケールメリットが出てクオリティが上がるというものでもありません。やはり地域の特色やニーズに合致した適切な規模が必要ということになります。

名東福祉会の場合、名古屋市の東部地域にいろいろな施設や拠点を配置しています。この地域に日中活動と夜間ケアの場をつくっていくことが使命でもあります。日中活動といっても、障害の程度によって就職に近い働き方をする場から生活介護や訓練が中心の場まで幅広く利用者ニーズに合わせて配置される必要があります。名古屋の東部の人口を考えれば、少なくとも、日中活動の場と夜間ケアの場の双方をカバーできるような拠点を計画的に設置していくことが今日的な課題であり、障害程度の重い知的障害者の人口構成からみて、恐らく200人から300人が適切であると思われます。4人に1人が利用者となる可能性がある高齢者福祉を専門とする社会福祉法人とは適切な規模が違うのです。

知的障害者福祉の世界ではよほど効率的な運営に心がける必要があります。拠点を整備するときに、これまでのように施設ごとに事務部門や医療部門を用意しているとやはりコストがかかります。管理部門も統合ができるはずです。拠点の整備とともに拠点間の機能の重複をできるだけ抑える必要があります。

施設ごとに配置された専門職の職員が施設ごとにばらばらであったら効率的な運営ができるはずがありません。
例えば事務管理や財務管理。これは法人本部に機能を統合した方が合理的でしょう。
医療介護はどうでしょうか。現在のところ、看護師の配置義務は通所施設にはありませんからレジデンス日進に限られます。しかし、嘱託医と看護師は法人全体の医療的なサポートを行うように改めた方がより合理的です。
給食サービスは外部委託によってすでに法人単位でサービスが提供されているといえます。

ひとつの施設で管理部門をすべて支えることは難しいが、複数の施設が集まれば管理部門を支えることは容易になります。このように本部機能は主に施設からの繰入金によってまかなわれることが正しいのです。
法人本部の機能を強化するために収益事業を行って本部財源を確保するという考え方もありますが、現実には無理でしょう。とても健全な発想といえるものでもありません。

6月22日の午前中のこと。長年、ボランティアで施設につくしてくださった人の家族から
「病状が末期症状となり人工呼吸器をつけている。病院からは3ヶ月以上たったので病院からでなくては
いけないのだが、次の病院が見つからない。」
と電話がかかってきました。
「やってみるから少し待っていて」
と、ある病院に電話しました。そこは機械が8台あるから何とか受け入れるのではないかとの返事。その旨早速連絡を入れ
「後は、今の病院から出る日、受け入れる日を直接やりとりして頂けばよいから」
と伝えておきました。人生の末期の時期というのにどうしてこんなにもばたばたしなければならないのでしょう。
私はこの仕事をともに歩んできた人の最期の状況は私自身のことのように思え、胸が痛みました。

一昨年の今頃、私の片腕となってくれた親友が亡くなりました。今年は3周期にあたるからどうぞお参りに来て下さいとご家族からのお電話をいただきました。手製のお墓を立て、白い花の木を植え、廻りにはなずなの花がいっぱい咲いているといいます。でも、友人のこと、
「私は死んでなんかいませんよ。千の風になってあの大きな空を吹きわたっています。」
と声が聞こえてきそうな気がしました。

時間があったらお墓参りに行ってみたいと思います。きっと私はお墓の前で泣かないことを約束しますから…。

2007年6月26日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝