障害者基礎年金

障害者自身の収入が上がることはたいへん重要です。知的障害者の主な収入は工賃と障害基礎年金です。
もちろん就労支援で工賃収入を上げることは必要であるとしても、それには限界があります。

これまで障害基礎年金を上げる議論はありましたが、なかなか国会にまではあがってきません。
障害年金を増額することはその財源を確保することを抜きに議論は成り立ちません。これまで財源問題があって障害基礎年金の増額議論ができないのではないかと思います。

財源として考えられるのはまず介護保険です。現在、介護保険は40歳から加入が義務になっています。
もともと、制度が設計されたときは介護保険は20歳からの加入を前提としていました。
当初は20歳から障害者・高齢者のための介護保険加入のしくみを導入することを考えていましたが、いろいろな反対で40歳からの加入になりました。そのため、財源が大幅に減ってしまったのです。

障害者支援費と介護保険を統合は将来の課題として目標となっていましたが、このところ統合はないのではないかといわれるようになりました。
次々に出てくる社会保険庁の問題
障害者の程度区分の認定問題
医療との整合性の問題
などいろいろな問題があって、介護保険との統合→財源の確保という図式は壊れているというのが現状です。

となれば消費税の増税です。消費税は財源の切り札ですが、どの政治家も不利になることを公約やマニフェストに入れてくれません。

ですが、国は2011年までにプライマリーバランス(収入と支出のバランス)をとることを目標にしています。そうなればあらゆる社会保障制度の切り詰め策とともに、消費税の増税が必要になることは明らかです。
現在2007年ですから、社会保障制度にとってこれから数年の間は嵐のような逆風が吹き荒れることになると思います。

障害者基礎年金の増額は極めて重要です。
施設利用の際の利用者負担を少なくすることもひとつの解決策ですが、施設が提供するサービスだけで障害者の地域生活が成り立つわけではありません。
障害者年金を増額することは自由な暮らしを選ぶ上でも、障害者自身がサービスを選択する上においても、新しい障害者福祉サービスが創出される上においても決定的な要素だからです。