コンピュータの見すぎ?ではないと思うけど、眼が真っ赤になり、すべてが見にくいので、眼医者に行ってきました。夏休みの終わりで、こどもたちの多いこと多いこと。おかげでなかなか看てもらえず。やっと順番が回ってきて診療。完全にただれ眼。「薬を根気よくさしてようすを見てください」とのこと。診療は5分もかからない。まずはやれやれ。
このところ、あんまり暑いので、からだのいろいろなところに不具合がおきます。年齢のせいもあって、不具合はからだのどこかへどっかと居座ります。
これを乗り越えるのは、楽しいことを想像するのが一番。私は考えました。旅行も好きだったけど心臓のせいでついていけない。食べること・・・これも小食になってしまった。芸術品を見に行く・・・乗り物に乗ったり降りたりを考えると行く気がしない。何もない。あえていうなら・・・
やっぱり障害を持った子たちの笑顔を見ている時。そしてその子たちのお母さんたちと談笑しているとき。私の健康法はこれに限る。
悩み事を聞いているときだって、私自身は楽しいのだ。解決に向かっていっしょに挑戦できるから。やがて親たちの顔に明るいきざしがあらわれると、私は心の底から喜びがわきあがる。どうぞ親さんたち、遊びがてら雑談をしに我が部屋をお訪ねください。
8月 2006のアーカイブ
昨日名東福祉会の理事会・評議員会が開催された。生活支援センターや短期入所事業を事業者の指定申請を行うために、運営規定の変更を理事会で承認を得ることが目的だった。このところ、障害者自立支援法の変更と共に、様々な細かい作業も必要となってくる。
この難局をのりきるため検討しなければならないことが多いのだけれども、なんだか難しい事務手続きもたくさん必要で、理事の先生方にはそのつど難儀をかけてしまう。
私には難しいことばかり。こうした専門的な話をいつも聞けるわけではない親御さんたちはどうなることかとさぞや心配しているのではないかと思う。
とにかく、今までの運営費の80%くらいしか収入が見込めなくなるのだから、今までのようにはいかない。いろいろ創意工夫し、そのうえで家族の方にもご協力をお願いしたい。
先ほど全国施設名簿が送られてきたので、パラパラとページを繰ってみた。愛知県、岐阜県を詳細にみているうち、理事長も施設長も随分お名前が変わっていることに気づいた。以前、親しくしていただいた方々が極少数の方々になっていて、業界の様変わりを感じ、制度の様変わりやをひしひしと感じるのだった。
今回の障害者自立支援法は日中活動と居住支援の双方をそれぞれ充実させようとするもの。もちろんどちらも大切だし、新しい時代にあわせて日中の活動は多彩なものになるといいと思う。働ける人はもっと働ける場がほしいし、ゆったりと介護を受けたい人はそういう場もほしい。
ただ、居住支援は・・・居住支援ということばも私にはしっくりこない。くらしの場でもいいのに。
くらしの場はほんとうに街の中に点在しなければならないのだろうか。100人単位というのはあまりにも大きいが、10人とか20人の小グループで面白おかしく暮らせればそのほうがありがたいような気がする。何も経営効率とか生産性といった難しい話ではない。
小さなグループだから地域福祉だとか、町の中に点在しているから地域福祉ということがそもそもよくわからない。郊外の住宅地から街の中に働きに通勤することのほうが都会の人たちの普通の生活スタイルなのに。
たよりになる兄貴分や弟分の職員がいつもそばにいて、
けんかもするけど、大好きなともだちがいて
おいしい食事を食べることができて
自分が好きなこともする時間が持てて
たまにはどこか近所に夕暮れ時にみんなで歩いていって遊べて
眠たくなったらぐっすり寝ることができて
ときどき、自分の家族もふらっと遊びに来てくれる
そんなホームがあればそれでいい。そんなホームができたらどんなにかうれしいかと痛切に思う。
篠田さんのお母様がなくなり、本日、八事興正寺で、身内だけの告別式が行われた。
私とほぼ同年代のお母様。日ごろから
「年をとったので、ひとりあの子を残してゆくのが心残りだ。」と言っておられた。
みんな同じで「わが子が逝くのを見届けて死にたい」は全国共通、母親の思いであり、そのために親の会は50年がかりで運動を続けてきた。そのかいあって両親がなくなっても、叔父、叔母、兄弟、施設職員もなんとか考えてくれる。
親がいなくなったら、やっぱりグループホームかケアホーム。地域の中でいろいろご近所の人たちと接点をもちながら暮らしていけるよう、コンビニの数ほどつくらねばならない。
花に覆われた棺を見送りながら、私は私が死ぬ前に、わが子がケアホームで楽しく暮らしている姿を垣間見ながらあの世の道をたどりたいと思った。
でも、篠田さんのお母さん、安心してください。職員たちがきっと早急に実現してくれますよ。
■まったなしとなった障害者自律支援法による改革
平成18年8月25日、厚生労働省からの最終回答ともいえる障害者自立支援法の調整案が発表された。いよいよこの10月からの経営内容が具体化してきた。
これまで単価が極端に低い障害者自立支援法に転換する施設はいないのではないかという観測があった。しかし、今回の発表で明らかになたのは旧法の施設は単価が80%になるということ。まさに背中に刀を突きつけられ、船から海に張り出した飛び込み板の上を前に進まなければいけない状態だ。いよいよ障害者自立支援法の事業に事業転換せざるを得ない状況になった。
社会福祉法人は生産性の向上に励む必要がある。それも、障害者自立支援法によって新しく生まれたスキームにしたがって生産性の向上を実現するよう、事業構造を改革しなければならない。
まず管理部門の構造改革。各施設ごとに配置されている管理職のあり方も障害者自立支援法に従って見直さなければならない。法人事務センターの機能を強化する必要がある。施設経営の透明性も高めなければならない。効率的な経営のためには効率的な管理が欠かせない。
次に職員教育。社会福祉法人の生産性を向上するためには、障害者福祉の専門技術を高めることが必要だ。若い人たちに知的障害者福祉の技術を磨くことを優先しなければならない。若い人を教育できないとモラルの低下を生み、サービスの質を下げ、事故を増やすことにつながる。
名東福祉会の現場は経験者が少なくなっている。知的障害者支援に有効なキャリアを積むことができる法人になる必要がある。
そしてもっとも重要なのが収益のアップ。やはり利用者に求められるサービスを展開することだ。それが収益の増加につながり、給料などのアップにもつながる。時間がないがそれをなんとかやりとげなければならない。
■改革の効果が大きい入所施設
もっとも改革の効果が大きいのは入所施設だ。入所施設を障害者地域生活促進センターに生まれ変わらせる。
私たちのように大規模な都市に位置する都市型の入所施設は多機能型の総合支援センターに生まれ変わっていく必要がある。
1 ショートステイを中心とする地域生活を送る上で起こる多様な危機を回避し回復するための機能
2 児童デイサービスを中心とする自閉や発達障害の治療センター機能
3 ケアホーム、グループホームの利用に向けた宿泊型自立訓練機能
4 職員キャリアを磨く研修センター機能
5 法人本部機能による法人経営の中枢機能
などこれからの入所施設に求められる機能はどれも敷居が高いものだ。しかし、障害者自立支援法の推進エンジンとしてみなされているのはむしろ旧法の入所施設。入所施設を変えていかなければ自立支援法そのものが進んでいかない。
地域生活への移行を考えるためには、日常生活の自立訓練を行う場も同時に必要となる。これが宿泊型の自立訓練施設だ。また、実際に入所施設から出て家庭に戻るケースは稀である。そのため、入所施設退所後のケアホーム、グループホームが必要となってくる。
こうした機能を備えた施設に変貌することによって、職員もキャリアを磨くことができるようになる。
■通所施設
既存の通所施設はどうか。障害者自律支援法は私たち社会福祉法人の現場にとってたいへん厳しい法律である。特に授産施設が厳しい。
障害者の雇用はこれから格段に進む。ハードウェアの規制がなくなれば、NPOなどによる就労支援グループが続々と生まれてくる。これからは養護学校や特殊学級を卒業した人は施設だけが選択肢ではなくなる。旧来の授産施設は経営的に極めて厳しい状況となっている。
今度の障害者自律支援法では日中活動では4つのタイプが描かれている。
1 就職をめざして活動するグループ(就労移行支援)
2 就職したも同然の仕事ぶりで、支援者といっしょにバリバリ働いて給料をもらうグループ(A型就労継続支援)
3 3000円程度の工賃で働くグループ(B型就労継続支援)
4 介護を求める人たちのための生活介護を受けるグループ
これからはA型就労継続支援が現実的な選択となる。B型は衰退していくだろう。A型を目指すといっても、名東福祉会の場合、年々授産工賃は低下している。家族会の授産科目や工賃に対する期待も大きくはない。そうした意識を改革していかないと通所施設としての魅力が将来なくなっていく。
一方、就労ではなく生活介護を求める人もいる。名東福祉会の利用者は圧倒的にそうした人たちが多い。
ただ、生活介護のありようや質の高い支援についていまだに明確にはなっていない。行動分析的な手法によってQOLを高める技術をみがく必要がある。
■アセスメントと個別支援計画
障害者自律支援法では利用者グループの構成が非常に重要となってくる。結局、人間はひとりでは生きていけないし、よく生きるためにはこころが通うグループが必要だ。
ところがこれまではすべてが施設単位だった。なかなか施設という枠組みを超えたグループをつくるという発想が生まれにくい。
だが、そうしなければ効率が悪い。施設ごとにA型、B型、就労移行支援というグループをつくってそれぞれ活動するなど無理だし、成果もあげにくい。これからは複数の施設に所属している利用者が、その個別のニーズに従って目的別のグループを選べるようにしなければならなくなる。複数の小規模施設が連携してひとつの事業を構成する場合も考えられる。企業とタイアップして特例子会社と連携することも考えなければならない。発想がこれまでとはまったく異なるのだ。
これまでの社会福祉は一法人一施設が原則で、どこにも施設長、事務員が置かれ、法人が違っても等質の施設経営が求められた。まさに全国津々浦々「金太郎飴施設」だった。これからは多様な個性を持った事業所が競い合うことになる。施設単位の経営はできない。法人単位あるいは法人間連携で福祉サービス事業を展開していかなければならない時代となる。
そこで重要となるのは「サービス調整会議」。これは地域ごとに法人を超えて会議が行われる。とても難しい課題となるが、名東福祉会はこの分野においても名古屋市名東区地域生活支援センターを中心に、個別ニーズに即した福祉サービスが提供できるようがんばっていきたいと考えている。
8月21日午後7時から愛知中小企業家同友会障害者問題委員会に出席した。12名ぐらいの出席だったが障害者雇用に熱心な企業家が熱をこめて話し合った。
愛知県の中小企業化同友会の経営フォーラムのなかで、高齢者・障害者の問題を中心に第11分科会として報告する石川、小出、森部氏を交えて準備討議を行ったのである。
テーマは「共に生きる」、内容は「共生・人を大切にする経営とは」である。小出昌子氏は
「単純な作業を時給が高い社員にやってもらってはもったいないと思っていたところへ、障害者を雇ってくれないかという依頼があり、やってもらったら本人もたいへん喜んでやっている。時給350円という安さなのだが、そんな人がどんどん集まってきて安い給料でも働いてくれるので申し訳ないと思っている」
との報告だった。
時給350円はもちろん最低賃金の除外申請をした上での雇用だが、授産施設ならば時給30円から100円だから施設の10倍にはなっている。
中小企業には障害者雇用促進法による罰則規定がないため、障害者雇用には関心が少なかった。今度の障害者自立支援法は、そうした企業のニーズと障害者の就労ニーズをマッチングすることもねらっている。
日本の中小企業の技術は高い。授産施設が新しく事業を開拓しても簡単に追いつけるものではない。障害者自立支援法にも「就労移行支援」なるものがある。これからは中小企業と連携していくことが必要だなと思った。そうした企業が増えることで障害者が共に生きることができる社会に近づけばそれでいい。
あとはどれだけこのテーマの分科会に人が入るかが課題である。
いろいろ討議して9時過ぎてもとまりそうにもない。後は二次会でミーティングするとのこと。私はこれ以上体力がもたないし、度々発言させてもらって少し疲れたので退席させていただいた。
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今日も朝から30度を越す猛暑。
そんな中を家族会の山口さん、藤本さん、ボランティアの後藤さんはレジデンス日進の環境整備に汗を流してくださっている。
山口さん、藤本さんは主に屋上の整備と建物のまわりの清掃やこまごまとしたこと。後藤さんは内部の掃除機かけ、清掃から建物外部の草取り。レジデンス日進の敷地は1400坪。気が遠くなる量だ。
家族会の皆さんは決められた曜日に、あちこち清掃をしてくださっている。そんな皆さんのお蔭で建物内はどこをはだしで歩いても気持ちいい。
いちども家族会に出席しない一部の家族の方たちに、何とかこんな蔭の協力があること、みんなで名東福祉会を支えていることを伝えたい。
レジデンス日進は日進市民のいこいの場である三ッ池公園のすぐ横の池のほとりに立つ。優れた環境の中に立つ施設の景観は、利用者のみなさんも慰められているでしょうし、職員も来客の皆さんも喜んでいると思います。
入所施設が不要なはずがない。不要であれば、こんな尊い協力を自ら進んで行う人たちがたくさんいて、それが何年も続くはずがない。
暑い中、ハードスケジュールの合間をぬってわざわざレジデンス日進に訪れてくださった公明党の参議院議員の山本保先生。
月並みなあいさつは抜きに、中小企業の障害者雇用を促進する新しい税制のありかたから発達障害幼児の行動療法まで、理事長と熱を帯びた話が交わされる。
双方、意気投合、同席していた人や私などこんな展開になるとは思いもよらず、口を挟む余裕もない。あっという間に予定時間は過ぎ、夕立と雷がとどろく中、施設を後に足早にお帰りになられた。
山本議員は厚生労働省出身。これまで障害者福祉や児童福祉に深くかかわってきただけに、なみいる国会議員の中でも障害者問題の造詣が深い。
願わくば、障害者自立支援法を重々ご承知の山本先生、福祉の現場の私たちも改めるべきは改めますから、どうぞ法律の悪いところはぜひぜひ直していただきたい。
■障害者の派遣労働・短時間労働についての検討が始まる
厚生労働省は「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度のあり方に関する検討会」を開催した。(ホームページのリンクを参照)
今回議題に上っている改革案のポイントは
1 これまで重度の障害者しか認められていなかった短時間労働を障害者全般に拡大する
2 障害がある派遣社員を受け入れた企業も障害者の雇用率にカウントする
という2点。
平成17年度の障害者雇用の状況は国全体で1.49%、人数ベースで26万9千人となる。
現在、「障害者雇用促進法」によって、障害者雇用が1.8%に達成していない企業から達成していない分だけ一人当たり5万円の納付金を納めなければならない。にもかかわらずこの数字であることは、いかに日本の障害者の雇用が進んでいないのかがうかがえる。
パートタイマーや派遣社員の雇用で納付金が免除される。また、職場の環境を改善するための奨励金がもらえることになる。もし、パートタイマーの雇用や派遣社員での雇用が障害者雇用率に組み込まれれば企業の障害者雇用率はより高まることが予想される。これから、障害者の就労支援のノウハウを持った多様な派遣会社が設立されていくことになると思われる。
ただ、これからいろいろ検討しなければならない課題も多い。例えば、派遣社員は必然的にいろいろな企業を移りわたることが多い。知的障害者がそうした形で就労になじめるのかという疑問もある。また、短時間であっても障害者雇用率が達成されることによって、納付金が免除されたり逆に報奨金がもらえることによって、雇用がどのように変遷するのかということも十分に検討しなければならない。
確かにそうした問題については慎重に影響を見極めなければならない。しかし現在は多様な働き方が世の中に広がっている時代。そうした時代背景を考えれば障害者雇用についても、より柔軟な雇用形態を考えるべきだろう。障害があっても本人の能力に合わせて働く場が用意できる社会がほんとうに豊かな社会である。
昨日のことになるが、東京からある施設の施設長さんがレジデンス日進にこられた。東京ど真ん中の入所施設。その1階でパン、ケーキ、軽食レストランを営業している施設で、私も見学させてもらったことがある。
ひとしきり昨今の障害者自立支援法の話題が出た後、例のパンの缶詰の話になり、その施設でもパンの缶詰をやりたいと計画を進めておられるとのとだった。なんとも打つ手が早い。さすがだ。
ただ、どこかの施設で成功すると、どうも、福祉施設の場合同じような作業があっという間に広がってしまう傾向がある。なかなか成功する作業がない中で、同じような作業を選んでしまうのは仕方がないことなのかもしれない。それだけ、いい仕事がないということなのだ。
障害が重い人の中にもまわりの人たちにひっぱられてもっと働ける人はたくさんいる。そうした人たちのために新しい支援の仕方が必要なのだと思う。そのためには私たちがもっているこれまでの常識や考え方を改めなければ・・・。
自閉の人だからできないわけではなく、自閉の人だからできる作業に施設の作業を切り替えるべきだと思う。
チャンスがいる!
根気がいる!
人の和がいる!
これからは就労継続支援が重要になる。
とういうわけで、改革したいと思っているのは天白ワークスの「パン作り」。
愛知県中小企業家同友会障害者問題委員会に出席したら、その会に始めて出席したライトハウスの近藤さんから
「パンの缶詰」の話をお聞きし、ぜひ見学させていただきたいと思った。
そしてトコトコでかけてみて聞いて驚いた。
「金儲けするのに資金をかけないで儲かるはずがない」
「お金がなければリースという手もある」
「日本国中の行政が災害用備蓄に買ってくれると思ったら大間違い。何事もセールスの努力が必要」
「行政は乾パンのほうがいいと思っている」
「専属セールスマンが必要」
要するに、美味しいパンを作って安く売ることやお金をいただくことのいやというほど学ばせていただいた。
福祉に携わる人はみんな人はいいが、計算ができないとかっていわれたことを思い出した。
これからは施設も商売のセンスが問われる。なんとか儲かる仕事を見つけなければ。
■児童の専門療育機関に手厚い制度を
スキナー財団の理事長である J. ヴァーガス博士が来日し、名東福祉会の通所厚生施設「はまなす」を見学したとき、彼女とディスカッションをする機会を得た。
博士によると、自閉症のこどもについて2歳までに行動療法を実施した研究があった。そのうち57%もの症例で就学時に他の親が自閉症であると気づかなくなるまで改善をしたという。他の療法では同様のレベルまでに改善した事例は13%にとどまった。
確かに、アメリカにおいてはADHAやLDの幼児の治療教育法が確立している。ところが日本では保育所が自閉症を受け入れるようにようやくなったという段階である。日米の幼児療育の技術レベルの差は歴然としている。
この格差は幼児期の療育サービスの品質にとどまらない。早い段階で適切なコミュニケーション能力を身につけることができることにより、その後の行動障害など「二次的な」障害を未然に防ぐことが可能となる。
障害者自立支援法の「目玉」である児童デイサービス事業。この事業は障害者自立支援法の施行に伴い、これまでの児童通園施設に代わる新しい障害児の療育事業として注目を集めている。
ただ、障害者自立支援法における児童デイサービスではこうした専門的な療育サービスを想定して制度設計されているとはいいがたい。
例えば、障害があるこどもの「預かり保育」的なサービスも、行動分析技法を有する高い技術を持ったスタッフも同様の報酬単価となっているのはいかがなものか。自閉症や広汎性発達障害の場合、独特の感覚チャンネルによって情報処理している可能性があり、個々のこどもの状態にあわせた専門的な言語訓練や日常生活動作の訓練が必要となる。効果をあげている療育技法には報酬に差をつけてもよいのではないだろうか。
一方、発達障害に対する治療をうたったクリニックは近年、増加しつつある。なかには高額な報酬が必要なものもあり、1回数万円もする治療費に加え、新幹線代を払って通い続ける親もいる。「障害が治療できれば」という親心につけみ、まったく効果がない「治療法」を押し付ける事業者があるとしたら社会的に許されるものではない。
早期の療育が児童期や青年期の行動障害の予防につながる可能性が示されている今日、児童デイサービスの療育効果についてもその効果を公表したり、公的な機関による評価を実施すべきであろう。
50年前に何もなかった福祉施策が、いろいろな人が努力を積み上げてきて、ようやく今日、なんとか・・・
となったとたん、「障害者自立支援法」が実施された。
支援費の自己負担問題や単価切り下げで障害者も親も施設もみんながてんやわんやの大騒動。
なるようにしかならん・・・と成り行きを見守る親、世の中が変わったのを全く無視して施設が悪い、理事長が悪いと平然と言う親、いろいろあるけれど、大部分の親たちはどう協力すればよいのか聞いてくる。ありがたいことだ。
当方人の施設は自主製品販売に開所以来努力を重ねてきた。
当初は陶芸品だけで年間600万円も売れたときもあったのに、今は見る影もない。何とか売り上げを伸ばし、工賃を上げ、本人の就労も考えなければならない時代になった。
名東福祉会は「どんなに障害が重くても大人になったら家に引きこもることなく通う場所が必要」という出発点があったので、いつのまにか障害が重い人がたくさん集まってしまった。
この状態の中で利益と就労を追求するのは過酷な課題。
でも、考えれば世の中に役立つ方法や人様に喜んでいただける道は必ずある。実践的研究という高尚なものではない。
犬も歩けば棒にあたるでもよいではないか。神様は努力するものを見捨てない・・・と私は信じている。
■新しく生まれた雇用型就労支援 具体的モデルを示す絶好の機会
ヤマト福祉財団の小倉氏が既存の社会福祉制度に乗らない形式で知的障害者の雇用の道を開いたことは私たち障害者福祉にたずさわる人間にとっては大きな衝撃となった。
特に、厚生労働省が受けた影響は大きく、今回の障害者自立支援法にも小倉氏の考え方が色濃く影響を与えたことが推察される。
過去25年間、名東福祉会の授産施設においても就職者はほとんどない。ただ、授産施設のあり方として就職者が少なかったことはほんとうに批判されるべきものなのであろうか。
就職した障害者が少ない理由の最大の要因は、就職を希望する障害者が少なかったことにある。授産施設を利用する利用者の就職ニーズは極めて低い。
私たちの施設の利用者は、そもそも就職の支援を求めているわけではなく、質の高い「継続的支援」を求めている。
ヤマト福祉財団のモデルにしても、既存の授産施設が支払っている工賃の低さを問題にしたものであり、就職の実績の低さを批判したものではない。
ほとんどの知的障害者にとって、支援を継続することは非常に大切だ。障害者自立支援法に新しく規定された「就労継続支援」は特定の知的障害者に、特定の支援環境を継続的に提供するモデルだ。
雇用型の就労継続支援は、継続的な支援を受けつつ、企業で働くことで得られるのと同質のライフスタイルが得られる福祉サービスである。
確かに、この事業に与えられる支援費報酬は最も低い。だがいわゆる健常者を雇用することが認められており、「共に汗をかき、共に育つ(鹿児島県白鳩会の理念)」ことができる福祉サービスの経営形態である。
ただ、この新しい事業で成功例が多く生まれるためには制度上の課題もある。
ひとつは雇用できる健常者の枠に一定の条件が課せられていることだ。本来、障害者と共に働く健常者が多いほうが望ましく、20%程度の枠組みは撤廃したほうが望ましい。
次に、利用することができる障害者について「雇用契約に基づく就労が可能な者」という制限を設けていること。確かにに可能性というだけなら誰でも可能性があるのかもしれないが、そこにいっしょにいていっしょに働きたいという障害者のニーズがある場合に、雇用契約の可能性という尺度で判別されることは問題が生じよう。
いずれにしても、この事業は、これまでの授産施設の問題点を乗り越える可能性をもった事業である。この事業を障害者の日中活動の中心的な存在に押し上げることができるよう、われわれ自身の努力が問われている。