■障害者の派遣労働・短時間労働についての検討が始まる

厚生労働省は「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度のあり方に関する検討会」を開催した。(ホームページのリンクを参照)

 今回議題に上っている改革案のポイントは
1 これまで重度の障害者しか認められていなかった短時間労働を障害者全般に拡大する
2 障害がある派遣社員を受け入れた企業も障害者の雇用率にカウントする
という2点。

 平成17年度の障害者雇用の状況は国全体で1.49%、人数ベースで26万9千人となる。

 現在、「障害者雇用促進法」によって、障害者雇用が1.8%に達成していない企業から達成していない分だけ一人当たり5万円の納付金を納めなければならない。にもかかわらずこの数字であることは、いかに日本の障害者の雇用が進んでいないのかがうかがえる。

 パートタイマーや派遣社員の雇用で納付金が免除される。また、職場の環境を改善するための奨励金がもらえることになる。もし、パートタイマーの雇用や派遣社員での雇用が障害者雇用率に組み込まれれば企業の障害者雇用率はより高まることが予想される。これから、障害者の就労支援のノウハウを持った多様な派遣会社が設立されていくことになると思われる。

 ただ、これからいろいろ検討しなければならない課題も多い。例えば、派遣社員は必然的にいろいろな企業を移りわたることが多い。知的障害者がそうした形で就労になじめるのかという疑問もある。また、短時間であっても障害者雇用率が達成されることによって、納付金が免除されたり逆に報奨金がもらえることによって、雇用がどのように変遷するのかということも十分に検討しなければならない。

 確かにそうした問題については慎重に影響を見極めなければならない。しかし現在は多様な働き方が世の中に広がっている時代。そうした時代背景を考えれば障害者雇用についても、より柔軟な雇用形態を考えるべきだろう。障害があっても本人の能力に合わせて働く場が用意できる社会がほんとうに豊かな社会である。