この頃名東福祉会の各施設の製品販売売り上げ向上にどうしたら貢献できるかと私なりに一生懸命考えています。
私にできることはないかと・・・。
あれやこれやろ思いめぐらしていたら昔の話を思い出しました。私がまだ天白ワークスの所長をしていたころですから、今から15~16年前の事になってしまいますが、石川県金沢手をつなぐ親の会から傘立て8本の注文をいただきました。どうやてお届けするのかが課題です。
天白ワークスの傘立てはすべて手作りの陶器で割れやすく、重く、かさばります。当時はそうした商品の輸送にはかなりのお金がかかりました。輸送代の方が商品よりも高くなってしまいたいへん申し訳ありません。
結局、「私が運ぶわ」ということになりました。
ちょうど私の長男が夏休みで入所施設から帰ってきます。息子を乗せて名神高速道路から北陸道に入り、金沢市内で親の会が会合をしている場所に着きました。
親の会の人たちが出てきて目をまん丸くして「ひとりで運転してきたの?」と驚きました。当時は私も若かった・・といっても65歳。でも、傘立てはひとつも割れていません。ひとつひとつデザインが違う天白ワークスの作品を私は誇らしげに降ろして手渡ししました。
「まあ、まずは休憩を」
といって下さるのを振り切り、長男が待つ車にまた車に乗って向かったのはイーハトーブの森。
目的を達成でき、みなさんからもほめていただけて私は意気揚々とドライブです。金沢から富山、魚津、黒部川と左側に日本海が見えます。日本海と空の青さに心は晴れ晴れとしました。
糸魚川あたりまで登ると、風光明媚な箇所があり、あの有名な「親不知(おやしらず)子不知(こしらず)」だとわかりました。昔、海に面した街道で、右には断崖絶壁が迫り、手をつないでいた親子もひとりひとり走ってとおらないと大きな波にさわられてしまうとか。私は息子に
「こんな怖いところを楽にとおれるようになったのは高速道路ができたおかげだね。私たちも昔の道を通ってみる?」
とわかりもしないだろうと軽口をいってみました。すると長男は身を固くして車の中を後ろに後ずさりして小さくなりました。びっくりしました。
「ごめんごめん。もっと楽しい話をしよう。そんな怖いところは通らないからね。」と謝りました。
でもそこからは高速道路ではなく148号線。糸魚川kら国道の山道は険しく、右も左も山また山。急勾配をアクセルいっぱい踏み込んで登ってゆかなければなりません。ふと気づくとガソリンがあとわずかになっていました。しまった、糸魚川で入れてくれば良かったと思っても後の祭りです。長男も緊張した表情になっています。
ガソリンメータと道を見ながらヒヤヒヤしましたが、なんとか小谷まで入りまいり、白馬近くまで来たなと感じたとき小さなスタンドがありました。
「よっちゃん、よかったね」
と喜ぶ私を見て、長男も緊張した顔がやっと溶けました。
美しい白馬を見て、大町に入り、大好きな「花の木」というレストランに入って気分が落ち着きました。後はイーハトーブの森が目の前です。わかりもしないだろうとたかをくくって息子に話をして不安を与えたことを心から反省しました。
施設はいいものをせっかく作っても、売ることが難しくなかなか授産製品の販売は思うようにできません。こんな私でも何か
お役に立てることはないかと年老いてもなお思っている私です。